トリコロールたちとの日々

On vit ensemble, on meurt ensemble.(レ・ブルーと共に生き、共に死ぬ女のブログ)自分で見返す為に書いてる

ドイツ戦予想フォーメーション、スタメン、展望

いよいよ待ちに待った、1年越しのEURO2020が開幕しましたね
EUROの大会自体やフランス以外のチームについては違う形でまとめたいと思っています。

今はそれよりも明日早朝に迫ったドイツとの初戦についてです...ドキドキしていますが、一つ言えるのは出場国が24ヶ国に増えた前回2016年大会から、EUROのグループリーグの1戦1戦の重みはそれまでとは全く別のものであるということです。

 

前回優勝のポルトガルはグループリーグで3戦全て引き分け。最終戦ハンガリー戦では3-3のまさかのシーソーゲームで追いつくのがやっとという体たらく。16ヶ国の出場枠のままだったらGL敗退で終わっていました。今回もレギュレーションは同じなので2018W杯王者にして現代最高のタレント軍団フランスvs現在世界最強クラブの一つ(20-21CLでは怪我人がいなければ2連覇してたかも)バイエルン・ミュンヘンの選手中心の2014W杯王者ドイツというあまりにも豪華な初戦は決してみんなが言うほど重要度の高い試合ではないかもしれません。あまりガチガチになる必要はなく、両チームとも攻撃的で最高の打ちあいになってほしいなという期待も込めて言っています。

 

ウェールズ戦とブルガリア戦の細かい感想も書こうかなと思っていたのですが、あまりにも実力差がありすぎてブルガリアが)正直そこまで参考にならないと思いドイツ戦の展望に文章を多く割くことにしました。ちなみにウェールズ戦とブルガリア戦のフォーメーションとスタッツはこちら。

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シュート数(枠内シュート)   フランス 23(11) vs 12(2) ウェールズ
支配率               76%    vs  24%  


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シュート数(枠内シュート)   フランス 26(11) vs 1(0) ブルガリア

支配率               70%    vs  30%

 

 これだけを見ても分かる通りブルガリア戦に関しては日本vsモンゴル並みに本当にフル代表同士の対戦なのかと思うくらいの差でした。かつてブルガリアは強かったのに…..上記のフォーメーションもあくまでスタート時のもので、試合中はほぼ中盤ダイヤモンドに2トップでした。ウェールズ戦も前回の記事でも少し書いたのですが、攻撃陣は問題なくかみ合っていました。某サッカーサイトの記事では全く逆の事を書いてる記事もありますが、私は違うと思います。笑

 

そして世間を騒がせたエンバペとジルーのひと悶着についてですが、正直相手にする必要はありません。エンバペははっきりした性格の持ち主なのでいくら先輩でも反論するところは反論するというだけの話でしょう。このチームには2018年の絆もあり、FFFのチャンネルやInstaを見る限りは雰囲気は悪くないです。

 

以上2試合とドイツの直前のテストマッチデンマーク戦ラトビア戦を踏まえた予想フォーメーションはこちら

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画像元:M6 「100%EURO」

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 フランスに関してはベンゼマの怪我が癒えて無ければジルーが代わりに先発になるけど、他はほぼ確定でしょう。ブルガリア戦ではラビオではなくトリッソが使われましたが、コンディションに問題がなければラビオで決まりです。

ドイツは直前のラトビア戦では上記ではなく下記のスタメンでしたが、フランス戦ではいつも通りの攻撃的な感じでは来ないと予想してます。理由はデンマーク戦のようにボールを持つと攻めあぐねる試合が多いことが2018W杯から続くドイツのジレンマだからです。3月の北マケドニアに敗れたカタールW杯予選でもそうでした。キミッヒを右サイドバックで使うとも報道されていますが、多分中央に戻してくるでしょう。

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ドイツ代表ラトビア戦 画像元:M6 「100%EURO」


フランスの理想としてはドイツにボールをわざと持たせ、奪ってからすぐシュートまで持ち込む展開を多く作ることで今のドイツからなら大量得点もありうると思っています。逆にフランスのボール支配率が高いと、先制点を奪えないまま時間が過ぎ、ドイツに点を許すことになる気がします。15年間攻撃的なサッカーを志向してきたレーブ監督が最後の最後となる大会でそのスタイルを変える勇気があるかは分かりません。でもラトビア戦の感覚でフランスと戦ってくれたほうがこちらとしてはおいしい状況です。

 

あと、1トップは恐らくミュラー、もしくはハヴェルツ、ニャブリになりますが、EURO2016の準決勝で対戦した際は、ミュラーの1トップが噛み合わなかったこともフランスの勝因の一つでした。ここも注目ポイントです。

 

5年前はフランスはドイツに対してチャレンジャーであり、シュート数でもかなり圧されましたが、今回は世界王者として各国の挑戦を受けます。あと6時間後に迫った試合が楽しみで仕方ありません(;´Д`)

Les Bleus EURO2020メンバー26名発表 ②メンバー考察

なかなか更新できてないけど、EURO本大会も近づいて来ているので更新頻度を上げたいな…

先日ニースで行われたウェールズ戦ではグリーズマン、エンバペ、ベンゼマBGMトリオがお披露目され、上々の連携を見せました。特にベンゼマは得点こそなかったものの、期待を裏切らないプレーでリーガで好調だった流れのまま、コンディションが良い事を印象づけました。

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vsウェールズ

上記のフォーメーションはあくまでもスタート時の陣形であって、ポグバがトリッソの位置に下がり得意のロングパスを繰り出す事もありました。また、ベンゼマ、キリアン、グリズーは流動的にポジションチェンジを繰り返していました。

 

ある場面ではベンゼマを頂点にグリズーとキリアンが左右を固めています。2トップの下にグリズーがいる場合もベンゼマとキリアンが入れ替わる事は頻繁に行われます。ラビオはカンテとポグバよりも前線に顔を出す回数が多いです。両サイドバックもオーバーラップを繰り返すので、非常に厚みのある攻撃が繰り出されました。

ちなみに数時間後にはブルガリアとの本大会前最後のテストマッチがありますがウェールズ戦含めその試合内容についてはまた後日まとめようと思います。

フランス代表に対しては世界中から優勝が当たり前のような声が聞こえてきます。先日モウリーニョが優勝しなければ失敗だと言っていましたが、これはモウリーニョなりの称賛の言葉だと思います。そしてモウリーニョだけでなく世界中がそう思っています。それに対してデシャンは皮肉で返したのですが、これはフランスの某サッカー番組でのキャスターの方とのやり取りで出た会話です。その時デシャンは笑っていたので、その雰囲気からして04CLFINALの因縁がある2人は決して仲は悪くないようです。笑

とにかく世界のナショナルチームにおけるLesbleusの戦力はプレミアリーグにおけるトッテナムのそれとは比べ物にならないくらい他の追随を許さないでしょう。

 

まずはGARDIENS DE BUT

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画像元:TF1


GKの3人はもうだいぶ前から当確でした。今後カタールW杯へ向けて五輪代表のアルバン・ラフォン、イラン・メリエが割って入れるかというところです。今大会ではグループリーグから全く余裕のない相手なので、恐らくリールのリーグアン制覇に貢献したメニャンの勇姿をみることはできないのかなと思います😢

キャプテンロリスには今シーズンのプレミアリーグでの悔しさをバネにこのEUROで活躍してもらいましょう!

次にDEFENSEURS

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画像元:TF1

ディーニュはフェルラン・メンディの怪我もあり2018W杯の時のようにコンスタントに呼ばれ続けながらも落選という悲劇は免れました。でもエバートンでのプレーをみれば分かるように、今やルーク・ショーに並ぶプレミアリーグ最高峰の左サイドバックだと私は思っているので、メンディがいなくても決して戦力の低下とは思いません。これにミランのテオもいるので左は2026年まで安心です(^▽^)/

他はほぼ1年前から当確のメンバーなのですが、1人サプライズがありました。リーガ・エスパニョーラ屈指のセンターバックの呼び声高いジュール・クンデです。まだ幼い顔をしている彼は東京五輪代表優先かと思われましたが、一足先にA代表デビューしていたウパメカノを差し置いてEUROのメンバーに選ばれました。デシャンいわく「3月にも呼ぶ可能性はあったけどエスポワールを優先させた」とのことなので、恐らくずっと追いかけてはいたのでしょう。そう言われると考えてしまうのがシティのラポルトの事。ずっとフル代表のユニフォームに袖を通すことを夢見ていた彼はついにその夢を諦めラ・ロハのユニフォームに袖を通しました。ただフランスのままでは、これから先もし定着できたとしても負傷の多い彼がレギュラーを獲るのは難しかったかな。今回のメンバー以外にもU-24のウパメカノ、コナテがいます。デシャンナポリのクリバリにもセネガル代表のほうを選ばれてしまっていますが、ラポルトの場合はデシャンに呼ばれる度に怪我で棒に振ったりしていたので仕方ないですね

news.nicovideo.jp

 

MILIEUX DE TERRAIN

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画像元:TF1

中盤は2018W杯の時もそうでしたが一番人数が少ないです。デシャンの採用するフォーメーションからしてトマ・レマーが実質FWなのを考えれば5人のみです。かつてデシャンを失望させながらもベンゼマと同じくデシャンの心の広さに助けられたラビオは、イエス・キリストのような風貌を身に着けついに去年スタメンに定着しました。

カンテ、ポグバと共に3人は当確でしたが、問題は控え。特にカンテの代わりはいなく、(ポグバもですが)今まで招集した中から選ぶのか?リール優勝メンバーのスマレ、ナポリのバカヨコ、マルセイユのブバカル・カマラら未招集組を選ぶのか注目されましたが、コンスタントに招集されているムサ・シソコと今シーズン怪我であまり稼働できなかったバイエルンのトリッソが復帰しました。私はより守備的な選手を呼んでほしかったのでトリッソの選出は正直びっくりしましたが、ウェールズ戦を見る限りはエンドンベレとエンゾンジよりはいい判断だったかもしれません。超逸材と持て囃されているカマヴィンガは前回EURO2016でのポルトガルレナト・サンチェスのようになる夢は断たれましたが、来シーズンしっかり活躍してカタールW杯のメンバーに食い込んでくれると嬉しいです。

最後にATTAQUANTS

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画像元:TF1

1980年代は華麗な中盤のパスサッカーで世界を魅了、1990年代はPK戦以外では無敗を誇った伝説の4バック、2000年代はジダンを中心とした豪華な中盤。それぞれの時代に強みがありましたが、その後の暗黒時代、過渡期を経て現在のウリはこの層の厚いFW陣でしょう。確かに昔もアンリ、トレゼゲ、サハ、シセらがいましたが、彼らは代表の大舞台ではパッとしないことが多かったですね。。。それについてはEUROが終わって過去の振り返りをするときに書きます...

 

ユナイテッドでは批判され続けたマルシアルですが、個人的には3月のカザフスタン戦でいいプレーをしていたし、呼んでほしかった選手のひとりでした。デシャンも怪我がなければ呼んでいたとメンバー発表の際に言及しています。来シーズンはまた19-20シーズンのように活躍してくれるでしょうか?

もう一人落選が残念だったのがベティスのフェキル。正直トマ・レマーよりも個人能力は高いと思うし、今シーズンは繊細な左足からのドリブルとミドルシュート中心に素晴らしいプレーを披露していただけに残念でした。

 

逆にサプライズ選出と言っていいのが去年11月にデビューした私の敬愛するリリアン・テュラムの長男マルクス(名前の由来は政治運動家だったジャマイカの国民的英雄マルクス・ガーベイから)デシャン「すでに呼んでるからサプライズじゃない」と言ってましたが、その後いろいろあったしチームとしても個人としても散々なシーズン後半戦だったので今回は無いと誰もが思っていたでしょう。11月のネーションズリーグではルーレットなど、とてもキレのあるプレーをみせてくれたので本大会でも出場機会があれば貪欲にプレーしてほしいです。

ベン・イェデルに関してはずっと継続的に呼ばれていますが、今までと同じで恐らく出番はほぼないでしょう。笑

コマンとデンべレは試合によってはスタメンで起用される可能性もありますが、ほぼジョーカー、スーパーサブ的な扱いになると思うのでEURO2000のヴィルトールのような活躍に期待です。特にコマンはハンジ・フリックからウイングでは世界最高の一人と称賛されておりましたので2020年のCLFINALのように試合を決定づける力をまた見せつけてほしい!!!

ジルーにはチェルシーでの鬱憤を晴らしてほしいですし、BGMトリオ以外にも見どころ満載です。グリズーにはEURO2016での忘れ物、大会MVP+得点王+優勝というプラティニと同じ3冠にもう一度チャレンジして欲しい。でも今回はベンゼマ、キリアンがいるので得点王は難しいか?どっちにしろもうあんな悔しい思いはしたくない。あえて言いますが、モウリーニョの言う通り欧州王者になる以外の結果は失敗です。

 

もっと書きたいことはあるのですがブルガリア戦があるのでこの辺で。

Au revoir!

Les Bleus EURO2020メンバー26名発表 ①ベンゼマまさかの代表復帰

見てくれた方はじめまして。私は約20年間フランス代表を応援している26歳女です。

 

簡単に言うと私は祖母がフランス人なのですが、小学生の頃いわゆるハーフ(クォーターという言葉を知ってる子どもはほぼいなかった)って言葉が大嫌いでした。今もどちらかというと嫌いです。

とくに日本という国では普通ではないというイメージを与えがちな言葉です。「半分、2分の1」なんて言われていい気持ちにはならないですからね。

 

ただそんな自分のルーツに誇りを持ってもいいんじゃないかと思うようになったきっかけがありました。

それがあのジネディーヌ・ジダンが中心となり世界王者、欧州王者に輝いたLes Bleusでした。「サッカーに人種はない」とは、かのミシェル・プラティニの名言ですが、まさにフランス代表はそれを体現するチームですね。

 

初投稿の今回は、もはや一大イベントとなったデシャンによるフランス代表のメンバー発表、先日のEURO2020の26名のリスト発表を振り返りたいと思います。


★発表前、フランス中、世界中がざわついたベンゼマ復帰のスクープ

今回のメンバー発表は日本時間の19日水曜日早朝3時20分、現地の18日20時20分頃からフランスのTV局TF1とM6で放送されました。(全く関係ありませんが、当日、この2局は合併する可能性があると報道されました)私はTF1で観たのですが、2014W杯、EURO2016、2018W杯の時と同じで生放送のニュース番組放映中に発表されました。W杯とEUROのメンバーはFFFフランスサッカー協会YoutubeチャンネルではなくTVで発表しています。ちなみに今回はニュース番組の男性キャスターではなく、フランスの2大TV局TF1とM6でサッカー番組の司会をしている2人の女性のインタビューに応じる形でした。

この発表前からカリム・ベンゼマが26名の中に入ったことはすでに報道され、日本のネット記事でも話題になりましたね!デシャンは今まで険悪な雰囲気になって干した選手でも、時間が経ち所属クラブでふさわしい活躍をしたときは呼び戻したりしていました。またジルー、グリーズマン、エンバペ以外にコンスタントに点を取る選手が居らず、ジルーはご存知の通りチェルシーでは出場機会が限られている状況なのでデシャンが不安を感じていたとしても不思議ではないと思いました。とはいえ私はデシャンの口から聞くその時まで信じられなかったです...

 

なぜならデシャンベンゼマを外してきたのは例のマテュー・ヴァルブエナの問題が主ではなく(もちろんEURO2016のときはそれが原因であり、追放のきっかけにはなりましたが)かつての師エメ・ジャケ監督(ジダンテュラム、アンリ、トレゼゲ、ピレスらを代表チームに抜擢し、1998W杯でフランスを世界王者に導いただけでなくフランス代表黄金期の礎を築き上げた名将)のチーム作りを選手として経験している事と、デシャン自身に対するいわれのないベンゼマの非難が原因だったからです。

 

ジダンジョルカエフを自由にプレーさせ、世代交代と新陳代謝を図るために当時のスーパースターでありユナイテッド、いやプレミアリーグの王に君臨していたエリック・カントナと後の1998-1999シーズンにプレミアリーグのMVP賞であるFWAとPFAのダブルを達成する程の実力者ダビド・ジノラをEURO1996のメンバーから外したジャケの判断は結果的には正しかったとは言えませんが(EURO96は決定力不足に悩み準々決勝、準決勝共にスコアレス、ベスト4で当時は伏兵扱いのチェコに敗退、ジダンも期待されたほど活躍できず)その決断は長期的に見れば98W杯から06W杯までの黄金期に繋がりました。そしてカントナを外したきっかけになったのもこれまたベンゼマと同じでカントナ本人のパーソナリティーの問題でした(みなさんご存じのカンフーキック事件。笑)選手時代のデシャン自身にとってもカントナがいなくなったことでチーム内においてローラン・ブランとともにリーダーとしての自覚が芽生えたことは容易に想像ができます。

 

デシャンもEURO2016でベンゼマと大怪我から復帰したばかりのリベリーを招集するという決断はせず、グリーズマンとポグバをチームの主軸に据えEURO2016に臨みます。結果はジャケと同じで優勝はできずその決断が100%正しかったとは言えませんが、フランスはその悔しさをバネにキリアン・エンバペという超新星の力も加わり2018W杯で世界王者に輝きました。

 

また、ベンゼマは前述したようにEURO2016のメンバーから外れることが決まった後、「デシャンは人種差別主義者に屈した」ととんでもない批判をしています。

jp.reuters.com

そもそもこの批判は、その数日前にあのカントナが自身と同じ境遇に置かれたベンゼマに同情したのか「デシャンは人種差別的理由によってベンゼマベン・アルファを選ばなかった」と根拠のない主張をした事が発端でした。自分のお気に入りの選手が選ばれなかったからその様な発言をしたのかもしれませんが、あろうことかベンゼマ自身がそれに便乗して「レイシストとは思わないが人種差別主義者たちに屈した」とデシャンを非難してしまったのです。

 

この発言に対してはそもそもフランス代表に親や祖父母の代から生粋のフランス人なんて少ないとか、言わずと知れた国家の英雄ジダンの両親もアルジェリア出身のベルベル人でそのジダンデシャンは長い付き合いがあるとか、いろんな角度から矛盾点を見出すことができるし、ただのはったりである事は明らかだと思います。でもテーマがテーマ。ましてやフランスでその様な話題は非常にデリケートであり、デシャンは自宅にレイシストと落書きをされてしまいます。このあまりにもひどい一件によってベンゼマは自ら代表への扉を閉ざしてしまったに等しいと考えられました。

 

ベンゼマがいなくなった後1トップを務めたのはオリヴィエ・ジルー。2011年の代表デビューから約4年間、ベンゼマとポジションを争っていた彼はベンゼマ追放から現在に至るまでLes Bleusの先発として活躍。2018W杯では得点こそありませんでしたが、足下の技術の高さと恵まれた体格によるポストプレーやプレス、圧倒的な存在感。そして温厚な性格で若い選手が多いチームにおいて良いお手本となりました。もちろんベンゼマグリーズマンは実はベンゼマが追放されるまで結構いいコンビネーションを見せていたので、もしかしたらベンゼマを呼んでてもうまくいったかもしれませんが、17-18シーズンのベンゼマはまだクリスティアーノ・ロナウドのサポートの役割を担っていたので得点数があまりにも少なく(リーガで5ゴール)デシャンどころかフランス国民の間でも待望論は少数派になっていました。

その後クリスティアーノ・ロナウドレアル・マドリードを去ってからの3シーズンのベンゼマの活躍ぶりは語るまでもなく、今シーズンは33歳にしてラ・リーガで15-16シーズンの自己最多24ゴールに迫る23ゴールを記録。大事な試合、ビッグマッチでも得点を重ねデシャンの考えを変えるに至ったのです。

 

でも今年1月にデシャンはこのように語っており、私はどうしても最後まで信じられませんでした。

www.afpbb.com

今回のメンバー発表のインタビューでデシャンは、ベンゼマと会ったのはつい最近ではないがそんな前でもないと言い、

ベンゼマと会っていろいろな事を話し合う必要があった。内容は明らかにしたくない。…私はいつも(選手を選ぶのに)個人的な事情は考慮していない。Les Bleusは私だけのものではない。」

と、フランス代表の為に個人的感情を解決したことを語りました。これでデシャンの人間としての器の大きさと大国の代表監督としての力量をフランス中が知ることになりました。(私がデシャンだったら許せないかも)

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画像元:TF1

 

また、以下のようにも語っています。

ベンゼマとジルーの間には常に競争がある。3年以上彼らは一緒にプレーしました。(ジルーの代表デビューからベンゼマのラストプレーまでの期間、実際は4年ほど)ベンゼマによってフランスはより良くなるが、ジルーを排除するわけではありません。」

グリズー、キリアンとのトリオについて「紙の上では上手くいくように思えます。…でもそんなに簡単ではありません。」

とにかくベンゼマとの和解はデシャンにとって優勝以外眼中にないという大きな覚悟の現れでしょう。

 

 

こんな調子でEURO開幕までLes Bleus談義を続けていきます

 

 

Au revoir!