FINAL アルゼンチン戦の主観的な選手採点
ロリス 5.5 メッシのミドルシュートを止めた場面は盛り上がったけど、試合中のセーブはコースの甘いものだけ。EUROに続いてPKを1本も止めることができなかった。
ヴァラン 6.0 随所に素晴らしいプレーを披露していたけど、ディフェンスリーダーとして3失点の責任を取ってもらう意味で厳しめの評価…
私にとって2つ上で、高校生の時から見守ってきた彼は本当に大好きな選手なので2026年までトップレベルを維持してほしい。
ウパメカノ 6.0 身体を張ったディフェンスだけでなく縦パスの素晴らしさ含めて私の中では今大会ベストセンターバック。ただ2失点目は彼の軽率なパスが元々の原因になってしまった。
クンデ 6.5 EUROやその後のワールドカップ予選では酷評されていた右サイドバックでの起用。今大会では見事に期待に応えていたし派手な活躍は無くとも安定していた。決勝では積極的なオーバーラップも見られた。
テオ 5.0 自慢の攻撃力は見られず、守備でも安定せず。ここまで来て初めてカマヴィンガとの途中交代。不完全燃焼に。
チュアメニ 5.5 今大会影のMVPもアルゼンチン戦では相手についていけない場面が見られた。ギリギリのコースを狙ったPKも外れてしまい人生の大きな転機であった2022年を悔しさと共に終えた。
ラビオ 6.0 チュアメニとグリズーが不調の中、脳震盪を考慮して交代させられるまでフランスの中盤を支えた。ただ彼ならもっとできたような気もする。
グリーズマン 5.5 今大会ゴールがなくとも4年前とは違うスタイルで素晴らしい活躍をみせてくれた。まだまだレ・ブルー、サッカー界の主役であることを示すことはできたけど、それゆえに自身の出来が試合開始からの70分近くに反映されてしまった。
ウスマン・デンベレ 5.0 ディ・マリアに抜かれて挙句PKを与えてしまった際には、リザラズからただただ「気をつけてよ」と言われてしまった。現在世界一ともいえるドリブラーの出来が悪かったことも敗北の遠因に。
エンバペ 8.5 他の攻撃陣と同じく相手に抑え込まれていたけど、同点弾となるPKからギアアップ。メッシにトロフィーは譲ったが、現在実質的には世界最高のフットボーラーであることを世界中に証明した。先日亡くなったペレを超える夢とキャリアを今後見せてくれるかもしれない。そして今大会はタレント軍団レ・ブルーがキリアンのチームになった大会として記憶されるかもしれない。
"コロたんへの決定的なクロス"
ジルー 5.0 夢のようなワールドカップを過ごしたジルーも決勝は早々に交代させられ最悪の思い出になってしまった。ただ彼の功績は誰もが記憶するはず。ミランで好調ならEURO2024も目指せる。
交代出場
マルクス・テュラム 6.0 偉大な父と同じようにワールドカップ決勝の舞台に立ったことは嬉しかったけど、史上初の親子2代でのワールドカップ制覇はお預けに。この悔しさをブンデスリーガでぶつけて今後は代表に定着できるようにしてほしい。キリアンとのワンツーでのアシストは最高。今後もいいコンビになる予感。
コロ・ムアニ 7.0 PK奪取に積極的なドリブル突破。この人がいなければ凡戦になっていた可能性も高い。決定機をいくつかモノにできず悔しい思いをしたけど、今後の代表への定着に大いに期待。
コマン 7.5 スタメン有力だったはずが、デシャンの大会前の4バックへの回帰の決断でスーパーサブへ。今大会は不完全燃焼に終わっていたけど、決勝では途中出場から本来の動きでアルゼンチンを撹乱。メッシからのボール奪取で同点弾の起点になり、得意の切り返しドリブルは誰も止められず、精度の高いプレースキックでチャンスを演出した。PKは残念だったけど、彼もまた世界最高峰のドリブラーである事を証明した。
カマヴィンガ 6.0 デシャンのバランスの悪い選手選考のせいで本来の役割とは違う左サイドバックの控えをやらされたが無事にこなした。むしろいつも通りのボール奪取からのドリブルで、改めてその才能の大きさを示した。
ユスフ・フォファナ 6.5 途中からでも気迫のあるプレーでチームを鼓舞。パスの精度は悪いけど、守備面では大会を通じて素晴らしい出来だった。
コナテ 6.0 短時間でもあれだけの強さとキックの精度を見せつけてくる化け物。そのうち世界最高のディフェンダーになる日が来るかもしれない。
ディサシ ー 代表初招集がワールドカップという貴重な体験をした1人。2002年の日本代表で結成されたアゴカルテットの4人をも凌ぐアゴが可愛い。(Désolé d'avoir été impoli.)
今後のさらなる活躍にも期待。
ル・グラエとデシャンの蜜月は続く…
FFFの創設から100年程。
現職の会長は見た目だけだと可愛いおじいちゃんであるノエル・ル・グラエ。その名の通りクリスマスに生まれました。2021年3月に再任されたので、少なくとも2025年まではフランスサッカーの政治的トップの立場にいる予定です。
その任期の長さは初代の方のワールドカップトロフィーにその名を残すジュール・リメ初代FFF会長に次ぐ長さです。彼は元々ごく普通の家庭に生まれましたが、創設した食品会社を1代で大きなグループにした所謂敏腕実業家。その影響力で政治の世界に入り、フランスサッカー界にも貢献してきて、FFFへ。そして南アフリカワールドカップの混乱の後に会長に選ばれました。論争を巻き起こすような事を言ってしまったり、考え方が古い部分もある気がしますが、JFAの某たしま会長よりは目立ちたがり屋ではないと思います。
''画像:ロシアワールドカップ時のル・グラエ会長。周りと比べても小さいかわいらしいおじいちゃんなのが分かる。見た目は。".
そんな彼はEURO2012で指揮を執ったブランの契約延長拒否後、元々ブランの次はデシャンという声がたくさんあった通り、マルセイユの監督であったデシャンを後任に指名します。その後2018FIFAワールドカップ制覇まで比較的順調でしたが、EURO2020では圧倒的優勝候補として臨みながら早期敗退。この時ル・グラエ会長はデシャンを「初めての失敗」とヴェルオリじいさんみたいな表現で擁護し、彼が続けたいなら続けさせるとしていました。今大会でもベスト4まで行けば彼の意志次第で続投と断言していましたね。
ただ、たとえ今回ベスト8で敗退していたとしても、デシャンを解任する事はなかったと思います。ル・グラエはデシャンを非常に好んでおり、「彼以上の監督はいない、見つけるのは難しい」と語っています。なにより会長自身、かなり悪いことが起きない限り、自ら大きな決断をするタイプではないと考えています。元が敏腕実業家とはいえ。
以前はジズーが後継者になるとも語っていましたが(2017年の記事)
再選前(2021年の記事)
昨年(2022年の記事)
もしデシャンが辞めたいと考えて、ジズーがフリーなら、そのときはル・グラエとは顔見知りのジズーにすぐ連絡がいくはず。
でも今後もデシャンに辞める意志がない限りこのままずっとデシャンが監督だと思います。
レーヴやタバレスがいなくなった今、デシャンが主要国の中では最長の政権ですが、サウスゲートやダリッチ、スカローニなど、2000年代くらいまでと違って近年は代表監督が長期政権になる傾向がありますね。森保さんも続けることになりましたし。
私もデシャンの事は非常に尊敬しているし、モナコ、ユーベ、マルセイユでの仕事ぶりも評価しています。ただ、EURO2016以降のフランスは誰が監督でも常にワールドカップ、ユーロで優勝を狙わないといけないチームなので、ここまで1つしかタイトルを取れていない事は残念に思います。
2つのビッグトーナメントで続けて3-3からのPK負け。というのが、攻撃的に戦った結果ではなく不安定だっただけというのも残念。勢いに乗れば素晴らしい攻撃を繰り出しますが、EUROでのスイス戦でも今回のワールドカップでもそれが断続的。いい試合をしたかと思えばとんでもなく悪い試合をする。その差が小さければいいけど、デシャンの率いてきた10年間はその差が大きすぎるし波がある。EUROのハンガリー戦、2022年のネーションズリーグ、2021年のカタールワールドカップの予選、2018年のオランダ戦等。
ただ私は、子どもの頃のヒーローであるジズーがレ・ブルーに戻ってくることを願っているだけなので…
けれどもジズーが監督になれば今より良くなる保証もできない。
とりあえず今はデシャンを応援するしかないかな。
24年ぶりのEURO制覇へ向けて新たな挑戦が始まりますが、デシャンはどんなチームにするのか?
続投で不安なのは、間違いなく世代交代やチームの新陳代謝は遅くなる事です。
今回のワールドカップでは怪我人が多かった結果、ギリギリで世代交代が進みましたがどうなるでしょうか。